昨年9月10日発生した関東・東北豪雨水害から今日で半年が経ちました。鬼怒 川が決壊した茨城県常総市ではいまだ家の再建が進まず、不自由な生 活を余儀 なくされている方が多くいます。

 2月末で第二次避難場所のホテルや旅館も閉鎖となりみなさんかろうじて自宅 に戻ったものの、水回りと寝るところだけ修繕してもらって、他は床を あげた ままの生活になっています。その上、井戸水を使っていたところは水害後、大腸 菌が発生し、水道をひかざるを得なくなり、その工事がいまだ終 わっていない ので、煮炊きが十分にできず、野菜を煮るくらいで、お弁当などを買ってきた り、ご飯もレトルトに頼っている状態です。半年経っても被 災地の復旧はいま だ終わっていません。

 一方で、常総市では復興計画づくりが進んでいて、この3月末までに完成させ る予定です。けれど、その計画も十分に市民の声を反映できているかは 疑問で す。そこで、たすけあいセンター「JUNTOS」(運営:認定NPO法人茨城NPOセン ター・コモンズ)では、代表理事の横田さんが委員・ アドバイザーとして市民 の声を届けています。1月には「市民の集い」を開催し、商業、農業、子育てし やすいまちづくり、高齢者・障害者、外国人、 教育などのテーマ別に話し合 い、さまざまな課題が浮き彫りになりました。
例えば、農業では水路が確保されず、田植えに間に合うかどうか、もし作付けが できなければその場合いの補償はどうなるのか?子育ての場合、そのマ マさん たちが避難所などでストレスを抱え、他の場所に移らざるを得なくなったケース もあり、避難所の在り方も問われました。高齢者・障害者では、 障害などへの 理解や、共有する場を持つということが挙げられていました。商業では人口が減 ると商売ができないので、人口流出をとめたいなどの意見 が出ていました。外 国人は安価な賃金で就労させられ、将来への選択肢も少ないという課題もでまし た。それぞれに共通するのは、災害で顕在化した問 題ですが、日常からある問 題でそれを克服することが誰もが暮らしやすい、優しい街づくりにつながるとい うことです。例えば、バリアフリーにするこ とで、お年寄りも歩きやすくなり ます。

 21年前の阪神・淡路大震災でも、市民とNGOの「防災」国際フォーラム実行委 員会が発表した「市民がつくる復興計画」の原案では「神戸市と兵 庫県、国の 震災復興計画は震災直後に策定作業がはじまり、95年6月末から7月にかけて相次 いで発表された。震災の被害と構造が十分明らかになら ず、被災者の救援と復 旧事業が並行して進むなかでの策定作業だったが、発表当初から多くの問題が指 摘され、矛盾を含んだまま3年間を経過した。」 また「『まちづくり』はもとも と、長い時間をかけて地域づくりに対する住民の夢を紡ぎ出し、課題を共通のも のとしつつ地域住民の合意をつくり、住 民が主体性を発揮して行政とパート ナーシップのもとに進めていくべきものである」と書かれています。これはいま の東日本大震災および常総の被災地 でも同じことが言えます。住民が主人公の 街にその住民の声を反映できなければ人口も流出してしまいます。常総市の被災 者のつぶやきでまちやくらし 再生、復興で必要なことは?と聞かれ「人々が安 心して居られる事、仕事がある事、皆さんが協力しあう事ができるようにした い」と・・・。
 住民が一人ひとりが主人公になれるまちづくりを目指して、私たちも何かお手 伝いできることはないのか、現地の人たちとともに考えていきたいと思 いま す。これからも東日本大震災の被災地と向き合いつつ、常総の被災地を忘れず関 心を持ち続けてください。 
                                                                                            (増島 智子)