2015東日本豪雨水害

被災地NGO恊働センターです。2015年9月に発生した東日本豪雨水害の救援レポートです。

水害発生から3週間が過ぎた豪雨水害の被災地では、いまだ手つかずの被災家屋も多くボランティアのマンパワー不足もあり、支援活動が滞っています。それでも現場の最前線ではボランティアは毎日泥や砂埃、カビにまみれながら必死に活動を続けています。
いまだ、手つかずの1階家屋に2階でひっそり暮らしている人、避難所では他人に迷惑をかけるからとカビだらけの自宅に戻っている人などが置き去りになっています。また農家では田んぼに流れ込んだ家屋や車などが行く手を阻み、手が付けられない場所や、収穫したお米が何百袋も水に浸かり、公的な補償もなく廃棄している状況です。

現在は主に避難所の環境改善を行っています。阪神・淡路大震災以降、女性・子ども・外国人・障害者などには配慮した避難所づくりを提案してきましたが、20年経った今でも体育館の床に毛布を引いて、間仕切りもなく、女性が着替えたり、洗濯をしたり干したりする場所もありません。

間仕切りなし_s

そこで、震災がつなぐ全国ネットワークの加盟団体などと協力しながら、避難所の環境改善を行っています。まずは、床からベッドへ、間仕切り、寒さ対策などを行いました。足腰が不自由な高齢者はベッドになり寝起きが楽になりました。ペルー人家族も今回の被災によって生まれて初めて布団で寝たということでしたが、段ボールベッドを導入すると、とても喜んでくれました。

間仕切りあり_s

ペルー人1_s

ペルー人2_s

ペルー人3_s

また、段ボールベッドだけでは硬いので、腰の悪い高齢者にはエアーマットなどで対応しました。

エアーマット_s

環境改善_s

そして、避難所のひとつであるあすなろの里では体育館に避難していた被災者があまりの寒さゆえに「私はここから生きて出れるのか」と毎日のように訴えていた人は、畳敷きの旅館の個室のような部屋へ移動してもらいました。これには保健師、看護師、施設職員、常総市社会福祉課などと連携し、行うことができました。ただ、今後避難所の統廃合に伴い看護師などの応援体制が希薄になることが懸念されています。

お引越し1_s
お引越し_s


同時に、長期化する避難生活を見据えて災害救助法を運用して被災者が安心・安全に避難生活できるように地元の茨城NPOセンター・コモンズCOMMONSさんを通して常総市や県などに、旅館や企業の保養所などを借り上げるなど、被災者に必要な施策を提言しています。

 また、足湯も避難所を中心に行っています。朝晩寒くなってきたので、底冷えがする体育館などでは女性は特に足先などが冷たくなるので、足湯は好評です。

足湯1_s

足湯2_s

足湯3_s

足湯のつぶやきを紹介します。
「普段、シャワーは使わず湯船に浸るので、風呂に入った気がしない」
「むくみが取れない」
「昔の古傷が出てきた」
「うわ~気持ちいい、今日は幸せだ」

被災者の方の一句です。
「十月を迎えて避難地あすなろに 日を追うて避難の宿寒さ哉」(10/1) 

 引き続き「活動支援金」の募集を開始しています。支援金は復興に中長期にかかわる被災者支援を行うためのボランティア活動に使わせて頂きます。

これまでの20年間の経験とネットワークを生かし、可能な限り対応していきたいと考えています。是非、みなさま方々のご支援、ご協力をお願いします。
なおこうした私たちの支援活動は、みなさまはじめ日本財団やCivic Forceさんからのご支援で行なっています。  
(増島 智子)

みなさまをはじめ、Civic Forceさんや日本財団さんのご支援のお陰で、活動できることに心から感謝致します。現地にいる頼政からレポートが入りましたのでお届けします。
頼政は常総市の避難所を巡回し、ケアーが必要な人を常総市社会福祉につないだり、避難所の住環境の改善に奔走しています。また、26日現在では茨 城県内では2ヶ所に813人が避難しており、常総市には13か所335人、つくば市が8ヶ所の222人、つくばみらい市が2ヶ所179人と続いて います。被災から2週間が過ぎ、避難所も統廃合に向けて動き出すようです。 被災者のつぶやきを紹介します。 *************************************** ○「統廃合して総合体育館に移らないといけないけど、車がやられていて移動手段がないのでどうするか。子どもの学校も今の避難所は隣にあるのでい いけど、体育館に移るとどうやって通学していいかわからない。家(アパート)に一度戻ったけど、あまりの腐臭で目が痛くなってしまった。まだ家は 手付かずの状態。ずっとコンタクトをつけていたけど、目が痛いので今はつけられない。メガネを持っていないので、今は目が見えないような状態でと ても不安。夫はトラックドライバー。実家のいわきにしばらく行っていたけど、最近戻ってきた。」(女性20代~30代) ○「避難所に入ってあまり動かなくなったので、体が動かなくなってきて不安がある。 被災した後から杖がないと歩けなくなった。今年の4月に家の保険に入って、水害にも対応するものだったので保証がもらえて家は再建できるだろう。 あまったお金で家具や衣類も揃えられる。家族は5人。」(男性80代) *************************************** 避難所だけでなく、在宅はより一層深刻なようです。精神疾患を持っておられる方の中には、やはり症状が悪化し、自傷行為に及ぶ人、見ず知らずのボ ランティアを受け入れにくく、掃除なども手がついていない人など、福祉サービスが発災からストップしているなかで、当事者も家族も疲労の色が日に 日に濃くなってきています。 一方、茨城新聞(2015/9/27)によると収穫時期と重なったお米については農業災害補償法(農災法)で、補償される水稲は田植え(じかまき の場合は発芽期)から収穫までと定められており、現段階では補償の対象外となっているそうです。 また、県が同市内に確保した公的住宅は11戸だ が、そのうち10戸は無償期間が来年3月まで。希望だった2年間無償の公的住宅はわずか1戸。住宅が大規模半壊または半壊した被災者に代わり、市 が応急修理する制度。県によると、工事の完了期限は災害発生日から原則3カ月以内で国と調整しており、限度額は1世帯当たり56万7千円。修理の 範囲は「あくまでも必要最低限の応急措置に限られる」(県担当者)という。浸水を逃れた2階部分で生活を続ける市内の60代男性は「罹災(りさ い)証明書の発行まで1、2カ月かかると言われたのに、書類ができないままでは申し込めない」と肩を落とした。という記事が伝えられていました。  なお、明日から増島も再び常総市入りし頼政と合流し、避難所の巡回や足湯活動を本格実施していきたいと思います。また、栃木県、茨城県ではまだ まだボランティアが足りないようですので、都合のつくかたはぜひお手伝いください。

シルバーウィークに入り、たくさんのボランティアの人たちが現地に入り、懸命の被災者支援活動に当たっています。けれども、被災戸数が多くてなかなか手が回っていないのも現実です。現在、常総市を中心に床上浸水は4830世帯、床下浸水が7258世帯(17日現在)で、全半壊の数は調査中で依然不明です。また、茨城県は県南・県西地域に公営住宅を被災者に無償提供することを決め、約300戸を確保し、住宅によって異なるようすが最長2年で調整し、10月にも入居できるように準備をすすめているそうです。他にも入居可能な住宅の選定を急いでいるようです。
前号でも少し触れましたが、茨城県内の避難所は、17日現在で8市町33ヶ所に2008人が避難しています。被害の大きかった常総市には17ヶ所944人、隣のつくば市も8ヶ所の539人と続き、避難生活の長期化が懸念されエコノミークラス症候群の予防や検査も行われ始めたようです。被災から1週間がたち、被災者の疲労もピークに達し、それをサポートする現地のスタッフにも疲れの色が濃くなっているようです。

先日、足湯をしたときのつぶやきを紹介します。
「自宅も床下浸水してしまった。ヘリコプターで救助してもらおうかと思ったら、カーポートの屋根がヘリコプターの風、ほらヘリコプターの風ってすごいでしょ?それで飛ばされちゃってカーポートが壊れちゃったのよ。そんでヘリコプターが離れて行ってしまってさー。自衛隊のトラックで助けてもらったよ。それでも4時間も待ったからね。実は俺は市の火葬場で仕事しているんだけど、周りの火葬場が水に浸っちゃってパーになっちゃったから、ぜんぶこっちに来るから、1日6~7体も焼くのよね。直接被災していない人もこういうところで影響している人もいるんだよ。ニュースなんかで、やらないから知らなかったでしょ?」

 常総市では現在、茨城県と常総市と常総市社会福祉協議会の3つにボランティアセンターが設置されています。当センターは常総市社会福祉協議会のボランティアセンターに入っています。詳細はこちらをご覧ください。(http://joso.vc/)
 東日本の被災地から届いたまけないぞうが常総の被災者のもとへ届けられました。「わぁぞうさん!知ってる!うれしい!」と言って喜んで受け取ってもらえました。 

物資_s

ぞう_s

 なお、明日から頼政代表が再び常総市入りし2週間程度滞在しながら、ボランティアセンターのサポートを行いながら、地元の方たちと足湯活動を本格化する予定です。

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